arctanさんの
http://d.hatena.ne.jp/arctan/20061113/1163390180
についてですけれども。




>そもそも著者の「定義」を批判するというのはどういうことなのかな、と。
いや、定義を批判しているわけではないです。
ε2(0)の値はもちろん任意に定めていいわけです。


問題にしているのは、合成関数の微分の定理の証明です。
すなわち、

f(x)を区間Iで定義されたxの関数、g(y)を区間Jで定義されたyの関数とし、f(x)の値域f(I)がg(y)の定義域Jに含まれているとして、fとgの合成関数g(f(x))を考察する。f(x)がIでxについて微分可能、g(y)がJでyについて微分可能ならば、g(f(x))はIでxについて微分可能であって、
d/dx(g(f(x)))=g'(f(x))f'(x)が成立する

という命題です。


この命題の仮定からはε2(0)=0は導かれません。
導かれることは、
Δz=g'(y)Δy+ε2(Δy)Δyかつlim[Δy→0]ε2(Δy)=0
なる関数ε2(Δy)が存在するということであって、ε2(0)の値は仮定からは導かれません。
実際、aを固定して考えるとき、ε(y)=y-a(y≠aのとき),1(y=aのとき)というyの関数ε(y)に対して、g(y)-1=2(y-a)+ε(y)(y-a)かつg(a)=1とg(y)を定義すると微分の定義より、g'(a)=2となり、このg(y)と適当なy=f(x)についても定理の仮定を満たしていますから。




しかし、本の証明ではε2(0)=0ということを利用して証明しています。
仮定から導かれず、公理でもない命題を証明に利用してはいけないはずです(曖昧な言い方ですみませんが。僕がまだちゃんと数理論理学を勉強してないので怪しい言い方かもしれませんが、形式的体系における証明の定義より明らか?です)。
ε2(0)=0を定理の仮定に含めるなら正しい証明になりますが、その仮定を加えなくても成り立つ定理を、わざわざ適用範囲を狭くする必要もないでしょう。



この削除部分の記述に問題がありました。
詳しくは翌日のエントリで。




さて、これで反論になっているでしょうか?
もしレスとして検討外れでしたら、arctanさんの挙げられた「逆関数」の例をもう少し詳しく説明していただけるとありがたいのですが。