友人が森博嗣づいていて、森の話ばかりしてくるので思い出したのだが、
プログラムを書くという行為は、ときとして思考能力の限界をさまよう恍惚が味わえる。集中力の持続は、まるで水中で息を止めているように苦しく、しかし甘い。このまま帰ってこれなくなるのではないか、という領域に足を踏み入れる感覚。(中略)おそらく、数学や物理学などの理論研究においても同様の体感があるのだろう。これは創造だ。将棋やチェスでもあるのだろう。
森博嗣『森博嗣のミステリィ工作室』メディアファクトリー、p115より
私が深く集中するときは、スキンダイビングで生みに深く潜っていく感覚と似ている。(中略)これ以上集中すると「もう元に戻れなくなってしまうのでは」と、ゾッとするような恐怖感に襲われることもある。
羽生善治『決断力』角川書店<角川oneテーマ21>、p89より