今野浩『工学部ヒラノ教授の介護日誌』読み。

私小説として素晴らしい。どこにでもある老々介護(むしろ金銭的には恵まれてる部類だろう)の光景なのかもしれないけど、名が知れた著者が自身の暴力も含めて赤裸々に語っているのがすごい。
著者の身勝手な部分など嫌な面は結構目につくのだが、学者らしく客観的な目を持てているだけ、(偉そうな言い方だが)まだマシなのだろうと思う。
極論すれば「老いてから初めて妻に向き合う夫の自己陶酔」という陳腐なお話であるとも言えるが、そこには愛があると思う。
立ち読み中だったが、とある会話のくだりでは流石に涙不可避だった。