全ての人はハゲであることの数学的帰納法による有名な「証明」がある。
任意の自然数nについて、毛がn本である人はハゲであることを示す。
(a)毛が0本の人はハゲである。
(b)毛がk本の人がハゲであると仮定したとき、ハゲに毛が1本くらい増えてもやはりハゲであることから、毛がk+1本の人もハゲである。
(a)(b)より題意は示された。
この「証明」においてはハゲの定義に問題があった。
そこで、我々はハゲを公理的に定義することにしよう。
自然数の集合Hが次の公理(1)(2)を満たすとき、Hをハゲ集合と呼ぶ。
また、このHに対して、ならば髪の毛がk本である人をハゲと呼ぶ。
公理
(1)[tex:\exists m \in \mathbb{N} \forall x \in \mathbb{N} *1]と仮定する。
ハゲ集合の公理(2)より、
数学的帰納法より
これはハゲ集合の公理(1)に反する。
よって仮定が間違っていた。
すなわち
上記の公理的ハゲ論においては、任意の髪の本数の持ち主はハゲであるというパラドックスは成立しない。