ネタバレを気にせず書いてますので注意してください。
個人的な事情により沙紀ちゃんの登場するシーンでは毎回泣いてしまった。特にルピイが沙紀のことを「人と話すのが苦手」「本当はみんなと踊りたい」とか色々フォローしてくれる優しさにボロボロ泣けた。
いろいろ時間不足なところ、ご都合主義なところ、ありふれた要素の詰め合わせなどあってお話として面白いものではないけど、*1
基本的にずっと沙紀ちゃんがんばれって気持ちだったので、そんなにつまらなかったという思いはない。
女児向けアニメでラスボスが「年老いた女」、「醜い女」、あるいは「過剰に『女性的』な女」*2だというのはよくあるが、ザ・グレイトフル・デッドの攻撃(違)で伊純が老婆になるのは結構直接的でエグいと思った。
「時間を戻したい」というのは15歳の彼女たちにとっては「失敗をやり直したい」「現実から逃げたい」という意味だが、ラスボスの彼女にとっては明らかに若さ、またそれに伴う令色を保ちたいという要素が大きい。
若さを保ちたいのは、もちろんその背後にはそれによって格付けされてしまう社会というのが前提にあるわけだが、そういうこの社会のジェンダーのありようとか老いていくことの恐怖といった「嫌さ」というのは彼女たちの若さによってラスボスとともに吹っ飛ばされてしまい、「私たちは未来に向かって歩いて行こう!」というポジティブなメッセージが示される。
「現実から逃げちゃダメだ!」という部分に関しては「今日から頑張る(私たちはまだ若いので)」ということで納得するとしても、思春期の悩みって、一般には、世界がジェンダーを中心として編成される(あるいは現にそうなっていることを知る)ということの、まさにその嫌さに対峙しなければいけないということでもあると思う*3のだが、そこには触れないままにドラゴンボール式かめはめ波対決*4での勝利によって一件落着となってしまう。
この意味では思春期以上の人に響くメッセージは示せていない。*5
ついでに言えばダンスがなぜ世界の役に立つのかということもあんまり説得力を持って示せていない。
が、あらを挙げだすときりがないので、以降やや細かい点も含めてよかった点を挙げる。
・ポッピン族かわいい。特にダンス。
・女の子がかわいい
・蒼の能力が「視覚化」だというのは面白い。よく敵を倒したりするための「攻略」に必要な色々な情報はマスコットキャラに教えられたりなぜか直観的に理解できたりと、天下り的に与えられることが多いけど、それも一つの魔法だよね、ということを指摘している。
また、なんかかっちょいい画面を持ち出すことで例の中二病的読みがな(と書いて「ドゥーブル・スィニフィカスィオン」と読む)を映像作品でありながら導入できる。
・あさひのペディキュアを見たときの同位体の「わ〜かわいい〜」みたいな仕草がかわいい
・終盤で、小夏が髪の毛で顔を隠す(匂いを嗅ぐ?)いつもの癖をやろうとして思いとどまる(=「もう隠れない」という成長の表現)動きがかわいい
・伊純以外全員内気なキャラって時代を反映してるというか、なんかアレですけど、個人的には共感できてよかった。