顔が濡れて力が出ない

アンパンマンが「顔が濡れて力が出ない」というのは、*1「顔が濡れる」=「悲しいことがあって涙が出る」ということで、人が悲しいことがあると活力を失ってしまうということの文学的表現ではないかということにこの歳にしてようやく思い至った。いや、もしかしたら常識かも。
そうであるとした場合、悲しみというものを知らないで、なぜかH2Oの存在により顔が濡れて、何らかの生理的作用により力が出ない、と考えているアンパンマンは感情を解しないだいぶ人間味に欠けるキャラであるということになり若干不気味さがあるが、
(1)そもそもアンパンマンの世界は若干不気味なところがあるし、
(2)常に正しいヒーローというものは、あまりに正しすぎるがゆえに少々の気持ち悪さ、不気味さを伴うものであり*2
(3)また『それいけ!アンパンマン』の主要な受容者である幼児はまだ社会性・人間性と言われるものを身につける途上であり、アンパンマンワールドのみんなと一緒にそういうものを学んでいけばよいのであるから、
別にいいのであろう。

*1:むろん表向きには湿気の多い状態でパンをおいておくとカビてしまう=ばいきんまんとの戦いに敗れる、ということだが

*2:その中間的な存在として造形されたロールパンナちゃんというキャラもいるらしいが、彼女が登場したときには既に僕は『それいけ!アンパンマン』を(いったん)卒業してしまっていたため、詳しく知らない