嵐吹く御室の山のもみじ葉は龍田の川の錦なりけり
◯の◯の◯という形が連続し、Wordのオートコレクトから注意されそうなこのリズムがダサいと思っていたけど、前半と後半で同じ形が繰り返されることで、「あえて」のリズムを作り出していると言えるかも。
また文型としても「AはBなり」とあえてシンプルにすることで、その「錦」という比喩を際立たせていると言えるかもしれない。
ただ、龍田の川って相当「栄え」ていたからか、現代からするとそのビジュに寄っ掛かりすぎ、という感もある。以下の歌もそう。
ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは
これはカッコつけすぎ、技巧的すぎ。
紅葉を詠むのに「ちはやぶる〜」から入るの、かっこいいでしょ?という衒いが透けて見える。
顔で歌を詠むな。
ただ、さはさりながらから紅の比喩は見事でダイナミックなのは認めざるをえない。