
- 作者: 桜庭一樹,むー
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
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砂糖菓子の弾丸とは嘘、空想、希望。
それらで生きていくことはできないけれど。
しかしあの子に持てる武器はそれだけだった。
あの子とか言ってるけど、全然他人事じゃないね。
僕が持ってるのはせいぜい小さじ一杯の砂糖くらいな気がしますがそれでも尖らせたら刺さるんじゃない?くらいには思ってないとやってられません。
閑話休題。
こういう小説は普通成長するものなのだろうか。
考えてみる。
山田なぎさは物語の最初から実弾にしか興味がなかったけれども最後には砂糖菓子の弾丸を撃ちまくっていた藻屑のことを忘れないようにしよう、と思っている。
とはいえ、実弾はなければ生きていけない、というのが当たり前の結論。
やっぱり子どもが大人になる話ってまとめていいのだろうか。
兄の友彦は、砂糖菓子の貴族・神から、実弾を撃つ兄・男へ。
淡い初恋の人(花名島)も女を殴り、殴られ、大人になる。
人魚姫も親に虐待された末に殺される。砂糖菓子の弾丸は届かずに。
「私」、山田なぎさも高校に。
だが、この小説は、生き延びられた者の成長の話であると同時に、生き延びられなかった藻屑の哀しく、醜くも美しい「戦死」の様子を描いている点に特色があると言えるのではないだろうか。
技法的なことをいえば、冒頭でいきなり海野藻屑がバラバラ死体で発見される事が提示され、その発見の模様が何度も挿入されることによって、読者に海野藻屑の描写に注目させる効果があると言える。
冒頭で余命1ヶ月ですよと宣告するようなものだ。
支離滅裂ですみませんでした。
完全な余談だが、映画「耳をすませば」でも、主人公の女の子は結局高校に行くことを決心するけど、この小説にしろ「耳をすませば」にしろ、なぜ高校に行くのかってのはよくわからないところではあると思う。