シソーラス類語辞典)というのは勉強になるっぽいなあ。


私、verifyとjustifyは同じような意味だと思っていたのですけれども。
どちらも「正当化する」というような意味かなー、と。漠然と。


justifyの同義語として何が書いてあったと思います?
これわかったら英語に結構詳しいと思うんですけれども(いや、単に僕が無知なだけかもしれないので、「僕よりは」という但し書きが付くかもしれませんが)。
僕にとってはかなり意外な単語でした。


explainでした。
なんかjustifyは真っ先に「正当化する」という意味で覚えてるもので、なんか意外な感じ。
justifyの同義語としては、他には、defend, excuse, supportなど。
全部言い訳・自己弁護っぽい単語ですよね、どっちかっていうと。


一方、verifyの方はcheck, confirm, proveなど。
こっちは、「示す」というよりも、「真実を確かめる」というような意味合いが強い感じですね。客観的に。
語源はラテン語のverus(真実の)だそうです。


一応ジーニアス和英辞典から引用しておくと、

justify
(1)<人・事が><人・行為・陳述など>を[人に対して]正しいとする、弁明[証明]する[to];<事が><人>の[…を/…するのを]正当化する[in/(in) doing](→defend);<物・事が>…の根拠となる;
[〜 oneself]自己弁護する, 自分の行為を正当化する


verify
(1)<目撃者・調査などが><供述・疑惑など>が事実である[正しい]ことを証明[立証, 確証]する(⇔ falsify)<<◆進行形不可>>
(2)<人・科学などが><調査・実験などによって><供述・計算・仮説など>が正しい[事実である]かどうか確かめる;[…ということを/…かを]確かめる[that節/wh節]



だそうです。
まとめると結局、verifyは「真実だとする」ってことで、justifyは「正しいとする」という感じでしょうか。
やっぱり「正当化する」という訳語は、「正当化する」という日本語の単語の、通常のusage(使われ方)で考えると少し外れていますが、「『正当』に『する』」と、字面通り解釈すると結構近いような気がしますね。






……とここまで書いていて気づきましたが、どうやら、僕が勘違いしていたのは、"justify"の意味ではなかったのではないでしょうか。"justify"は「正当化する」でだいたい合っている。
むしろ、僕が違う意味で解釈していたのは、"explain"とか"defend"とか"support"の方なのではないでしょうか(ミステリの謎解きだと傍点を打ちたい文章)。


何か悪いことをしたとき、ミスをしたときに「explainしたり」「defendしたり」すると聞くと、我々日本人は(?って僕だけかもしれないが)、何か「言い訳する」、というような意味だと感じます。極端なことを言うと、「開き直り」という意味だと感じます。


しかし、英語話者からすれば、その行為は自分の行為が「正当なものである」と何とか理由付けしようとする行為なのではないでしょうか。


この感覚の差は結構大きいと思います。
なんというか、日本語の場合(と勝手に僕の感覚を一般化しています。気をつけてください)、何か罪に問われたときの説明というのは、その説明が最高にうまくいったとして、やっと勝ち取れるのがニュートラル(正と偽の中間)というか。
例えば、会社に遅刻して、「電車が遅れてしまって」と説明したとき、最高にこの説明がうまくいった場合、「電車が遅れたんじゃしょうがないな」となると思われます。
「しょうがない」というのは「しようがない」の音便形で、「しよう」というのは、「取るべき方法」というような意味ですから、「しょうがない」の含意は「あなたの遅刻という結果は、自然の結果だった。あなたはその結果に関与することができなかった。だから、遅刻は許される」というようなものです。


一方、英語のjustifyの場合は、「自分の(会社に来るまでの)行為は正しかった」という主張ですから、「電車が遅れた」というexplanationが認められた場合、「あなたは会社に時間通りに来るに際して、正しい(最善の)行為をとった。だから、遅刻は許される」というようなことで許されると思われます(たぶん。justifyの意味だけからこれを推論するのはちょっと飛躍している危険があるが)。


英語の場合は、その人の「行為」が主体で、結果が説明される。
一方、日本語の場合は、「自然」あるいは「成り行き」が主体で、結果が説明される。
この違いに、英語を母語とする人間と日本語を母語とする人間の世界観・人間観の違いを見るのも、そこまで飛躍しているとも思われないが、いかがでしょうか。


まあ、言葉一つで話を広げていったので、この結論は考察の結果というより、僕の思想先にありきの可能性が高いんですが。与太話ですね。