両論併記

特定の医療行為に関して、予想されうる通常の範囲の副反応をニュースとして報じることは、中立的な行為では決してなく、「これは何か報じるべき出来事である」という強いメッセージを発信している。
理科の教科書に、「ある人は進化論を信じ、ある人はインテリジェントデザインを信じている」と書くべきではない。
両論併記すること自体が、両者が同等に説得力があるという立場を取っている。

(ただし、これらの立場が哲学的にいかに正当化されうるかは全くdebatableである。思うに、「公的機関は合理的・科学的で宗教から分離された判断をすべきである」ということが社会の基本原則とする、という暗黙の前提を用いなければ「インテリジェントデザインの研究プロジェクトは実質性がない」というような議論を展開することは(インテリジェントデザインが科学的なふうを装おうとしているにも関わらず)不可能だと思うが、現に現代の民主主義国家で非合理的・非科学的な判断が支持されることもよくあり、また非科学的な判断を民主的に選ばれた政権が支持した場合どうするのか、というconflictもあることから全くもって簡単な問題ではないが、僕は副反応を殊更に取り上げて報道すべきではなく、もしそうするなら医療行為におけるリスクとベネフィットについて受け手に情報を提供すべきだし、理科の教科書にインテリジェントデザインの出る幕は1文字もないと考える)