チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ第19話「あら!?魔法のランプ」(A Lad in a Lamp)

*1「芝浜」である。

レスキュー・レンジャーズ 芝浜
失敗・騒動の原因 モンタリーがチーズへの貪欲のあまりに仲間をおろそかにした 勝五郎が酒のために自堕落な生活をしていた
騒動後 改心し、仲間がいることが大事だと思い直す 改心し、酒を戒める
世界のひっくり返り方 (最後の願いにより)騒動全体がなかったことになる 妻の真相の告白により、「あれは夢だった」という認識が打ち消される
オチ 魔法なしでやっていく 夢になっちゃいけねぇ
発端となる舞台 海辺 海辺
芝浜のオチ考察

しかし改めて考えてみると、芝浜のオチの「夢になっちゃいけねえ」は、形式的・表層的には「せっかくつかんだ大金がまた『夢』になって消えてはいけない」ということだが、実際は「この堅実で幸せな生活が夢になって消えてはいけない」というのが真意であり、

手にすべきもの 夢となって消えてしまう契機 夢となって消えてしまう理由
表層的な意味 大金 酒を飲むこと(今夜酒を飲むか飲まないかということ) 酒を飲むと金は消えてしまうから(単に前回そうなったからという理由)
実際の意味 堅実で幸福な生活 酒を飲むこと(酒を飲む生活をするかどうかという習慣) 酒浸りだと真面目に仕事できないから

というある種の隠喩・ダブルミーニングの構造になっている。

レスキュー・レンジャーズについて考察

魔法のランプということで、何でも望みを叶えるという強大な能力に対し、その強大さを逆手に取ってどう事態を収集するか、ということが物語の焦点になるわけだが*2、回答は「全てをなかったことに」で、タイムリープもののように時間が巻き戻って最初から同じイベントが繰り返されるのが面白い。
その際、前回とは異なる展開になる点はロジカルに説明されるわけではないが、「このイベント自体が再現されないように」ということも「全てをなかったことに」という願いに含まれる、ということで解釈可能ではある。
また、最後モンタリーが「仲間が大事」と改心しているのが、騒動を覚えていてそれを受けて改心したのか、それとも時間は巻き戻っているのだが「同じことが再現されないように」という魔法の力によって結果的に「改心」しているのか、という点がいずれとも解釈できるのもしゃれていてよい。
ロジカルに考えるなら、自発的改心であればあのキラキラした魔法のエフェクトが出る必要はないので、あれは「魔法が行われた徴」なのだと解釈でき、そうだとすると後者の解釈ということになるが、視聴者には「あれは自発的改心なのだ」というありうべき物語への強い確信があるので、キラキラエフェクトの位置づけはやや曖昧になるも基本的には前者とするのが普通かと思う。
結局のところ、全てはそんなに「ロジカル」ではないのだ(というかこういうときの「ロジカル」が本当にロジカルかは甚だ疑問で、こういう「ロジカル」は、ロジックを仮に機械的に適用するならば、とでも言うべき立場であろうと思う)。

*1:話数の数え方はアメリカの放映時の順番による

*2:ヴェニスの商人』で、「契約履行の厳密さ」ということが逆手に取られるのと同じ